
英語力は表現の幅や活躍の場を広げていく上で重要なスキルのひとつです。このコーナーでは英語というツールを使ってチャレンジを続ける様々な著名人にインタビューし、英語にまつわる経験談や学習者の皆さんに向けたメッセージをご紹介します。

<プロフィール>
1967年福岡県生まれ。上智大学外国語学部英語学科卒。東進ハイスクール、東進ビジネススクール、四谷大塚NET講師。独自開発の音読教育で「受験界のカリスマ」の異名をもつ人気講師として、学生や社会人に受験英語や実践英語を指導。
TOEIC 990点、TOEIC スピーキングテスト200点、ライティングテスト200点、実用英語検定1級ほか多数の資格を取得。『TOEICテストをはじめからていねいに』『できる人の勉強法』など著書多数。

■日本語で事足りるがゆえの悩み
今、日本の書店をのぞいてみると、易しいものから難しいもの、音声変化だけまとめたものや「相づち表現集DVD付き」のようなニッチなものまで、ありとあらゆるニーズに応える英語教材がそろっています。他のどの国を見ても、これだけたくさんの良質な教材が安価で手に入る国は日本以外にありません。
ですが、皮肉にもその恵まれた環境が、日本人の英語学習に対する“根気”を奪う原因にもなっているようです。
今や英語学習先進国となった、韓国と比較してみましょう。
翻訳者の多い日本では、映画の台本から医学書まで、ありとあらゆる文献の翻訳本が手に入ります。でも韓国ではそうはいかないから、英語の原書を読まなくてはならないそうです。必要性があるから、韓国人は必死に英語を勉強します。
また、日本文化が成熟の度合いを増して、アニメや映画、芸能などは日本発のもので充分満足できるようになりました。インターネットが登場した当初、コンテンツの80%は英語なので皆英語を勉強せねばと言われていましたが、今ではメジャーなサービスのほとんどが日本語化されています。中学生、高校生に言わせれば「日本語で事足りるのに、なぜ、英語なんてやらなきゃならないの?」となるわけです。
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■「あっという間にペラペラ」に爆笑する韓国人
もっというと、高レベルの外国語を習得するには、10年くらいかかります。韓国には、1年程度の学習で英語ができるようになると考える人はまずいません。ある時、韓国人に「努力しないであっという間に英語がペラペラに!」とうたう、日本の英語教材の広告を見せたら、大爆笑されました。
韓国には「頑張って」何年も勉強した挙句、やっと語学ができるようになったという人がたくさんいます。その苦労を周りも見ていて、「長年の努力もなしにできるようになるはずがない」とわかっている。だから安易な宣伝文句には、そうそう簡単には飛びつきません。
一方、日本人は「もしかして」と、すぐに安易な方法に走り、本質的な努力を怠る傾向にあります。帰国子女や留学帰りなど英語に堪能な人はたくさんいても、韓国のように普通の人が「頑張って」語学ができるようになった事例はそう多くないのです。英会話学校に通ってもほとんどが挫折するし、教材を買いそろえたけど途中でギブアップして、2年くらい経ってまた別の教材を買う。そんな悪循環に陥る人が少なくないと思います。
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■楽しんで努力すればTOEICスコアは上がる
「ラク」をするのはよくありませんが「タノシム」のはよいことです。
グローバル化が進む今、「英語ができないと就職に不利だから」「仕事で役立つから」と、英語を必須条件的に勉強せざるをえない。そんな社会背景もあってか、多くの人が「英語の勉強は楽しんでするものではない」と考えてしまっているようです。
けれど、勉強を日常生活や遊びから切り分ける必要はまったくないんです。TOEICのスコアアップを目指すにしても、問題集を解きまくって設問研究するだけが勉強ではありません。どうせ努力するなら素材は楽しいものの方が続くに決まっています。そのようにして、日常生活の中に英語を自然に取り入れ、英語と日本語の敷居を徐々になくしていくことで、私はTOEIC990満点をマークしました。
例えば、好きな海外のアーティストのインタビューを読む。英語の歌をおぼえてカラオケで歌ってみる。外国人のたまるバーなどに出入りし、友達を作って「メシでもどう?」なんて話してみる。
FacebookやTwitterをやっているなら、英語で書き込みを始めてみるのもいい。私は「キリンは20分しか睡眠しない」のような面白ネタを見つけたら、それを英語に訳し、Facebookに書き込んでいます。今は便利な世の中で、英語でちょこっと書いた文章をメールで送れば、ネイティブスピーカーが添削して送り返してくれるオンラインサービスもありますからね。
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■カンペキにならないからこそ、面白い
あと、私が今も欠かさず続けているのは「音読」。最近はまっているのは英語の名言、Famous quotesです。常に持ち歩いているキンドルには、色々な名言がてんこ盛りに入っています。また、毎日自動的に英語のニュースが送信されてくるので、それらを仕事の合間に声に出して読む。
周りの人から「努力家ですね」なんて言われますが、私にとってこれは勉強ではありません。面白いからやるのであって「趣味」なんです。パチンコやゲームに時間を費やすよりも、英語のfamous quotesを音読し、それをFacebookに載せ、どう訳せば皆の心に響くのか、そんなことを考えている方が純粋に楽しいんです。
人間、ひとつ目標をもつと、人生楽しいですよ。
例えば、英語の発音って、永遠に完璧にならないわけです。それでも、完璧な発音を目指して、一生やり続けてだんだんそこに近付いていくのって、何だか楽しいじゃないですか? 今のRは舌の位置が前過ぎたかな、もうちょっと引いた方が良い音がでるんじゃないかな、そういうことを考えながら英語を読んでいます。英語の勉強は長い道のり。せめて、教材や勉強法は楽しいものを選びましょうよ。
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■人と比べてはだめ、人の英語の批評もだめ
反対に、語学の勉強で絶対にやってはならないのは、人と比べること。これはTOEIC SWテストのスコアを伸ばす鉄則でもあります。
多少のライバル心ならいいけれど、「僕はこんなに勉強しているのに、どうしてあの人に近づけないんだろう」「年下のあの人より、自分の方ができなくて恥ずかしい」などと考えてはいけません。
自分の英語を、楽しむ。これが大事。
そもそも私なんて帰国子女でもないし、海外留学できなかったことで、心の中はコンプレックスの塊でした。でも、そういうのは「楽しければいいや」と、楽しさで押さえ込むんです。
そして人が話す英語、人が書いた英語に対して、上手、下手の批評を言ってもいけませんね。「今のコメント面白いね」とか、誰かの話した内容に関してコメントするのはOK。でも、「発音がいい」「LとRができてない」など、英語に関するコメントはNGです。
誰かの英語を評価することによって、自分が話すときにも自分を評価しようとする心理が働きます。そして人の英語についてコメントすると、逆に自分が話す英語を誰かにコメントされるかもしれないと意識するようになります。それは非常に危険なことです。
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■言葉を共有する人は誰でも「仲間」
「どうして英語を学ばなきゃならないの?」という子どもたちに、私がよく言う言葉があります。
「英語というのは、イギリスやアメリカの言葉ではないんだよ。英語は世界の言葉。世界中の人と話ができる、世界中に友達ができるよ」と。
私はアメリカやイギリスの文化に憧れて英語を始め、大学時代に初めてアメリカを旅して、憧れのアメリカの文化圏に住む人と話すことができました。以後、メキシコ、マレーシア、シンガポール、インドネシア、韓国、中国…色々な国を旅しましたが、どの国の人も英語を勉強しているので、日常会話ならある程度わかります。「りんご」という言葉はインドネシア人には通じないけれど、「apple」と言えばまず通じないことはない。それが英語のすごいところです。
あと、英語をやっていて良かったと思うのは、世界が自分のフィールドになったような気がする、ということ。世界中のあちこちに友達ができる、そうすると、たとえばミネソタで洪水があった、ソウルに大雨が降ったなどのニュースがあると「あれ、彼の実家は大丈夫かな、メールでも出そうか」という風になる。そうじゃない人にとって、おそらく、日本以外の場所は宇宙も同然なのではないでしょうか?
「外人さん」という言葉は、英語を話す人はあまり使わないですよね。これは、言葉を共有しない人に対して、ついつい出てくるものだと思うんです。英語が日常語になると、「外人さん」ではなく、スコットだとかデレックとかあいつという風に、日本人と外国人を分けなくなります。
人間は同じ言葉を共有することによって、心の底でその相手を仲間だと認識するものだと思います。そういう意味で、言葉って大きいと思いますよ。
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